pic034_Fotor_1215054725_Fotor.png

Welcome!

Haruka Yanagisawa / ライター&翻訳業/ 北欧、キャリア、働き方、ジェンダー、コミュニケーションなど

フィンランドのおじさんと「泣き相撲」

フィンランドのおじさんと「泣き相撲」

フィンランドからおじさんがやって来ていて、浅草で一緒にエビ天蕎麦を食べた。

この人のことは本当に「フィンランドのおじさん」としか言いようがない。

名前と職業、住んでいる街くらいしか、私は知らない。年齢も聞いたことがないけれど、恐らく60代。

出会いは4、5年前の夏。ガイドさんと一緒に私がフィンランドの森をハイキングしていた時、おじさんが声をかけてきた。日本語を勉強しているから、私たちの日本語が耳に入って、嬉しくなって声をかけてきたみたいだった。おじさんはジーンズに長靴を履き、釣り竿を持っていた。

「日本には何度も旅行に行った」というので会話がちょこっと盛り上がり、その場でなぜか、メールアドレスを交換し、一緒に写真を撮り、別れた。盛り上がったといっても5分程度のやりとりだった。

でも、それから、3−4ヶ月に一度くらいのペースでメールを送り合う関係になった。

クリスマスでこんなことをした、とか。こっちは正月にこういうおせちを食べた、とか。

お互いの国に興味があるので、それについての情報交換という感じだった。

しかしその後、私は「マッティは今日も憂鬱」を翻訳出版することになったりして、どんどんフィンランドとの関係を深めていくことになり、おじさんとのつながりも絶えなかった。

英語で文章を書くのが苦手な私はあまり頻繁にメールを送れなかったが、途中から、Facebookでつながるようになったので、いつも存在は感じていた。

そして、その後2度、私はフィンランドに行った時に彼に会って、食事をしたり、一緒にカラオケバーに連れて行ってもらったりした。

そんなこんなで今回、ついに、おじさん初来日。(おじさんにとっては6度目の日本なのだが、私が迎えるのは、はじめて。)

おじさんは日本来日にあたって、「浅草で、泣き相撲っていうFunnyなイベントを見たいから一緒にどう?」とメッセンジャーで誘ってくれた。泣き相撲…そんな情報、よく見つけたなと思いながら、私は即、「行く!」と返信した。加えて、「泣き相撲ってのはFunnyに思えるかもしれないけど、伝統ある真面目な行事でして・・・」と補足しておいた。

しかし、そうだな。外国人からしたら、ファニーに思えるのか・・・もしれない。面白い。

ファニーなイベントといえば、フィンランドだ。フィンランドは、自国に変な大会があることを売りにしている。「奥様背負い競争」「携帯投げ選手権」「エアギター選手権」。さらに今年は、ヘビーメタルの音楽に合わせて編み物をする大会なんてものも現れた。7月には、「サウナあたため選手権」が行われ、日本からは芸人のヒロシさんほかによる「焚き火会」チームが参加予定だ。

● BARKS /Hiroのもいもいフィンランドvol.66「編み物好きのメタルファンの方注目!世界初「ヘヴーメタル編み物選手権」この夏フィンランドで開催」https://www.barks.jp/news/?id=1000166505

● お笑いナタリー/ヒロシ、島田、ウエラン河本のチーム焚火会「サウナ温め選手権」優勝で世界大会へhttps://natalie.mu/owarai/news/327852

フィンランドに変わったお祭りが多いことについては、以前、CINRAの依頼を受けて取材協力したことがある。ライターの大北栄人さんと「なぜフィンランドには変なお祭りが多いのか」について真面目に議論を交わした。インタビューの後半、唐突に大北さんから、「実は僕も日本版の変な祭りを考えてみたんです・・・」と祭りのアイディアをプレゼンされるという不思議な展開で、印象深い取材だった。

● FIKA/フィンランドの奇祭にならい、日本の「おかしな祭り」を考えた https://fika.cinra.net/article/201806-ohkitashigeto

この時たしか私は、大北さんに、次のような話もした。「フィンランド人は、自ら変な祭りがあるというPRが上手だけど、日本にも、思わずほっこりするようなお祭りはたくさんある」と。「梅干しの種飛ばし大会とか、ビーチサンダル飛ばし選手権とか、泥んこバレーボールとか雪合戦とか。ただ、それをフィンランドほど海外に向けてPRしていないだけでは・・・」


今日、浅草で「泣き相撲」を見ながら、その時のことを思い出していた。

フィンランドのおじさんだけでなく、このイベントを見守る外国人の姿は多かった。「これは真面目な行事だよ!」と言っていた私自身も、いざイベントが始まると、どうしても笑ってしまった。なんというか、ほっこり。イベントの冒頭、都知事の挨拶で「待機児童対策、頑張ってます」という話がはじまったときはなんとも、「でも全然解決してないじゃないか・・・」とシビアな気持ちがよぎってしまったのだが、「相撲」が始まってしまうと、その場所はピースフルに包まれた。「泣け泣け泣け泣け。アレ?泣かないなあ・・・」などというかけ声の中、泣く赤ちゃん達。逆ににんまりしてしまう赤ちゃんも・・・。

私は自らこういうお祭りに出かけて行くタイプではないので、この”Funny”なイベントを見つけてくれたフィンランドのおじさんに感謝した。

泣き相撲でほっこりした後は、近くの喫茶店で、「日本とフィンランドどっちのほうが変な祭りがあるか」という話をしたり、フィンランドのサウナの話、森の話、禅の話などをし、これもまた色々と気づかされた。

それにしてもおじさん、いまや65歳は超えているのでは?と思われるが、海外ひとり旅、元気だなあ。今回は日本に来る前に台湾に行ってきたらしい。去年はメキシコとカナダだったそう。

「おじさんいっぱい海外を旅してるけど、ベスト・プレイスはどこ?」と聞いたら、なんだかんだそれはフィンランドらしい。「でも、いろんな場所を見たいから旅が好き」とのこと。そして、海外を旅するのは「夏以外」なんだって。なぜなら夏は、フィンランドにとって素晴らしい季節だから。夏はたいてい3-4週間休めるけど、長い休みだから海外という発想ではないらしい。


成田空港まで行くのにどの交通手段が一番安いか聞かれ、値段を調べた画面を見せたら、おじさんはリュックから小さなノートを取り出し、金額をメモしていた。余計なお金を使わないよう質素に旅をしている印象を受ける。フリーランスで働いているおじさんは、休みを取ればその分収入が減るのだろうし、決して、自由気ままに休んだり旅しているわけではないと思う。

でも、季節に応じた自分なりの余暇の取り方・過ごし方を持っているおじさんは、「ぜいたく」をちゃんとしてる人にうつる。休み方に指針がある人、スタイルがある人。私が旅に出る時なんていつも、「今しか休めないから、今、行くしかない!」って感じで。この休みを逃したら来年はどうなっているかわからない、という強迫観念が、あるのだ。時間にはいつも怯えてる。

そんな私は来月フィンランドに行くことになったので、また近々、ヘルシンキでおじさんに会う。一緒に森に出かけて「禅」をする予定。

フィンランドの映画会社

フィンランドの映画会社

クマを予約

クマを予約