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Haruka Yanagisawa / ライター&翻訳業/ 北欧、キャリア、働き方、ジェンダー、コミュニケーションなど

「お茶」を学ぶ

「お茶」を学ぶ

フィンランドに通い始めてから5年と半年になる。

フィンランドで美しいデザインや建築を見たり、サウナや湖や森を体験したり、人々と触れあったり、コミュニケーションを知ったり、価値観を知ったり。

その年月のあいだには、興味惹かれるテーマやフィンランドへの視線の向け方について、いくつかの段階があった。

最近の私は、「日本のものを見つめ直す」ことへ関心が向かっている。最初はただただ、感動して「フィンランド、いいなあ」「この感覚、すごい!」と思っていたものが、次第に、「待てよ、これって、日本でいうところの○○○に通じるのでは・・・?」とか、「この感覚を言語化するためには、一度日本の○○○をきちんと学ぶべきなのでは?」と思うことが増えてきたのだ。

先月のフィンランド滞在でも、インテリアショップに置かれていた「WABI SABI」の本が妙に気になったので買って帰り、その流れで「禅」に関する本が無性に読みたくなり、ヘルシンキのホテルのベッドに寝転びながらスマホを操り、Amazonで注文してしまった。

で、私の関心はさらに茶道にも向かっている。

そんなこんなで最近読んだのは、森下典子さんの著書「日日是好日「お茶」が教えてくれた15のしあわせ」。大学生の頃から25年間お茶を続けてきた著者が綴ったエッセイだ。この本を見つける前、茶道に関する知識がゼロの私は「茶道といえば千利休でしょ」というイメージしかなく、なんでもいいから千利休に関する本から読み始めるぞという頭があった。しかし、「千利休」と検索してみても、これといってどの本から読んだら自分の関心に刺さるのか、まったく見分けがつかなかった。どの本の表紙も、ぼんやりと見える・・・。

対して、森下典子さんの本は、「この本から始めなさいな」と語りかけてくるような、不思議なオーラがあった。・・・で、「千利休とかはあとでいっか」とあっさりと考えを変え、この本を取り寄せたのだった。

読み終えて、とても驚いた。

「お茶」を習い始めてから森下典子さんが経験された気づきや心の変化が、私がフィンランドと出会ってから得た気づきや変化と、多くの部分で、重なっていたのだ。

お茶という道を25年もきわめた方のお話しに対して、私のこの5年ほどの経験を重ねてしまうなんて、とても図々しく、傲慢なことかもしれない。お茶をよく知る人から「そういうことじゃない!知ったつもりになるな」とおしかりを受けるかもしれない。

それでも、本の中で、「雨の日は、雨を聴くこと」とか、「今、ここにいる感覚」とか、「五感で自然とつながること」といった言葉が語られるたび、私は、フィンランドでハッとさせられた様々な瞬間を思い出さずにはいられなかったし、その「フィンランド的気づき」をなんとか日本の日常生活で実践しようと試みてきたこの5年半のことを、思い返さずにはいられなかった。

(もっと具体的に、こういうところが、ああいうところが・・・と書き出すと長くなるので今日は省略。)

でも、まだ5年半である。

森下さんは、25年間、お茶の稽古を続けられて、この本を書かれた。

私は今、森下さんの記した感覚を、一部、自分にも似た経験があるとわかったつもりになっているが、実のところは、「私は何も知らない」ということを知ったに過ぎないのかもしれない。そして、”「自分は何も知らない」ということを知る” とは、この本の第一章のタイトルでもある。

私は知らない。

私は知らない、というスタート地点に立っただけ。

知らない世界の入り口に、今、立ったのだと思ったら、自分の中をとてつもなく爽やかな風が通り抜けた。

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追記:「日日是好日」は黒木華さん主演で映画にもなっていたんですね。知らなかった〜。やっぱり「私は、何も知らない」のです笑。そして、フィンランドうんぬんとはまったく関係なしにも、この本は本当に本当にすてきな本でした。心が迷った時に、何度でも読み返したい!

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